小学校入学前に通う保育園と幼稚園ですが、いったいどう違うのでしょうか?
母親が仕事をしている家庭の子供は保育園、母親が仕事をしていないか、短時間労働の家庭の子供は幼稚園、
といった違いが一番思い付くところかもしれません。
今回はそんな保育園と幼稚園の違いとそれぞれの特徴についてご紹介します。
1.保育の場と教育の場の違い
一番大きな違いは、この保育の場と教育の場という違いかもしれません。
保育園は0歳から小学校入学まで通えますが、幼稚園は原則満3歳(満2歳の園もあり)から小学校入学までの年齢の子供が通います。
園にいる時間は、保育園が朝早くから延長保育を入れると夜遅くまでであるのに対し、幼稚園はお昼間中心の平均4時間ぐらいです。
このように保育園は赤ちゃんから通えて、1日のほとんどを過ごすような場所なので、生活の一部とも言えるのです。
その一方で幼稚園はある程度大きくなってから通う場所で、お昼間だけ、家庭生活から離れて過ごす学びの場所です。
ですから、保育園の先生は保育のスペシャリストとして保育士という資格を持っていますし、
幼稚園の先生は学びのスペシャリストとして幼稚園教諭免許を取得しています。
よって、国の所管も厚生労働省と文部科学省といったように分かれているのです。
2.園での過ごし方の違い
それぞれの園での過ごし方の違いとしては、保育園は0歳から通える場所である為、
幼稚園のように入園するまでにオムツを外してトイレに行けるようにしておかなくてはいけない、
お箸でご飯を食べられるようにしておかなければいけない、といった事は無く、
保育園の保育中にトイレトレーニングやお箸の持ち方など、生活指導をして貰えます。
又幼稚園ではほとんど無いと思われるお昼寝の時間もありますし、お昼ご飯以外にオヤツの時間や夕方の補助食なども設けられています。
幼稚園はある程度成長してから通う学びの場というので、学習がより多く取り入れられている一方、
保育園は赤ちゃんの頃から、そして1日の大半を過ごす生活の場なので、幼稚園に比べて自由時間が多いと言われています。
ですが、幼稚園がより学習に比重を置くようになるのと平行して、保育園でも学びの時間がより多く取られるようになってきたとも言われています。
お昼ご飯の形態としては、保育園が原則給食なのに対して、幼稚園は園によって給食であったりお弁当であったり、
曜日によって給食とお弁当など園の方針によって異なります。
3.小学校に上がってからの違いはあるのか?
「保育園上がりの子は乱暴、落ち着きが無い」「幼稚園上がりの子は頼りない」など色々耳に入ってくる事が多いでしょうが、
小学校の先生に言わせたら、「結局はその子それぞれの違いであり、学年が上がっていけばその違いも無くなってしまう」との事でしょう。
保育園は学びの場という雰囲気が幼稚園に比べて少ないところがあるので、落ち着いて授業を聞くとかが、
入学仕立ての頃は難しい子もいるかもしれませんが、これも持って生まれた性格の面も大きいでしょう。
幼稚園だと、親から離れている時間が保育園の子供に比べたら少なく、ついつい親が手を出してきたので、
小学校に入ってもなかなか自分1人で出来ない事が多く、それを頼りないと感じる場合も多いかもしれませんが、
それも小学校生活で徐々に学んでいく事でしょうし、そもそも家庭の方針や兄弟構成などでも違ってくるはずです。
4.保育園化が進む幼稚園
近年、子供の少子化による幼稚園の定員割れと働くお母さんの増加による保育園の定員オーバーを解消しようと「幼保一元化」の動きも出て来ています。
このように昔は保育園と幼稚園は全く別物と考えられてきたのですが、今の時代、どんどん歩み寄ってきているのです。
私立の保育園や幼稚園では、それぞれの特色を打ち出し、2つの垣根が無くなってきているのも現実です。
保育園でも幼稚園のように英会話教室や体操教室をカリキュラムに盛り込む園も出て来ています。
一方で、幼稚園でも、昔のようにお昼間中心の短時間保育ではなく、かなり多くの園で延長保育、更には早朝保育などを実施してきています。
お昼ご飯の形態としても、以前はお弁当中心のイメージが強かったでしょうが、それが給食中心へとシフトしてきている傾向にあります。
このような変化から、働くお母さんの家庭でも充分幼稚園で対応できるようになってきているのも事実です。
ですから、出産を機に一度退職して家庭に納まった女性が子供の成長と共に再度社会に出たいと考えた時、
乳児の頃から保育園に入れておかなかったからと社会復帰を断念する必要は無く、選べば、
保育園と同じように預かってくれる幼稚園が増えてきているのが現実です。
一昔前と違って保育園と幼稚園の垣根はどんどん無くなってきているのが現実です。
それだけ子供の成長の場が選べる時代、母親の生活スタイルを選べる時代になってきているのかもしれません。
垣根が無くなってきている、違いがなくなってきているのが現実ですし、子供はどこで成長するかではなく、
どのように成長していくかが大事だという事を忘れてはならないように思います。