赤ちゃんの黄疸の症状は皮膚が黄色に!特に治療は必要ない!?

赤ちゃんに黄疸の症状が現れて、あたふたしてしまうお母さんも多いのではないでしょうか。

黄疸とは、肝臓病の最も特徴的な症状です。

黄疸は、皮膚が黄色に染まった状態です。

黄疸では目の白目のところが黄色くなります。

今回は赤ちゃんの黄疸とはどのような症状なのか、原因と治療についてご紹介します。

1.赤ちゃんの黄疸症状って何?

黄疸はビリルビンの血中濃度が高くなり皮膚が黄色くなった状態です。

赤ちゃんは、出生直後には肝臓でのビリルビン抱合能が低いので、大部分の赤ちゃんで生後2〜4日頃に黄疸が認められるようになります。

肝臓でのビリルビン処理能は、生後急速に高まるので、通常は生後3〜5日頃を最高として黄疸は低下してきます。

このような赤ちゃんの軽度の黄疸を、新生児生理的黄疸と呼びます。

2.ビリルビンとは?

ビリルビンはおもに老化した赤血球が、壊れて出てきたヘモグロビンからつくられますが、

肝臓でグルクロン酸抱合を受け脂溶性のビリルビン(間接型ビリルビン)が水溶性のビリルビン(直接型ビリルビン)に変わり、

胆汁中に排泄され十二指腸に分泌されます。

成人ではビリルビンの産生より、肝臓での処理能力が上まわっているので、異常な溶血の亢進や肝臓能の低下、

胆道からの排泄の異常が認められないかぎり黄疸は生じません。

3.赤ちゃん生理的黄疸の治療

生理的黄疸の場合には、黄疸の程度も軽く一般状態も良好で、1〜2週間で消えるので特別な治療は必要としません。

母乳栄養児のなかには、母乳中にグルクロン酸抱合を抑制する物質が多く含まれる場合があり、

黄疸が一ヶ月前後も遷延して続くことがあります(母乳性黄疸)。

この場合も特に高い値でなければ害はありません。

まれに他の種類の黄疸、例えば胆道閉鎖症(便がクリーム色や灰白色になる.直接ビリルビンが上昇)などが原因のこともあるので、

このような便の色をしていたり、いったん軽快した黄疸が再び強くなったりした場合には診察を受ける必要があります。

4.核黄疸とは?

間接型ビリルビンは血中ではアルブミンと結合して存在しますが、ビリルビンが高値になるとアルブミンと

結合しない遊離したビリルビンが脳に移行し、神経細胞の中に沈着して神経細胞の働きを妨げます。

ビリルビンは脳の中でも脳幹部の神経核に沈着しやすいので、この状態を核黄疸といいます。

核黄疸になると生命の危険が大きく、生命が救われた場合にも後に脳障害が残ります。

5.核黄疸の症状

核黄疸の初期には、黄疸の増強につれて、元気がなくなる、哺乳力が低下する、うとうとするなどの症状を認めます。

さらに症状が進むと、手足をかたくし、頭を後ろにそらせるようなり、けいれんを起こすようになります。

発熱もしばしばみられます。

これらの症状は核黄疸のはっきりした症状で、ここまでくると脳障害を残す危険がきわめて大きくなります。

初期の段階で交換輸血などの方法で黄疸の治療を行えば、脳障害を妨げることがあります。

生後3〜4週間頃になると、これらの症状は一時みられなくなり、3〜6ヶ月頃になり後遺症としての、脳性マヒの症状が出てきます。

核黄疸による脳性マヒは、不随意運動を伴うことが多く、また脳性マヒがなくても聴覚神経中枢が障害を受け難聴が認めらることがあります。

6.核黄疸の治療

赤ちゃんの黄疸は、核黄疸を起こす危険が生じるまで間接型ビリルビンを上昇させないことが重要です。

出生直後からの黄疸の強度に気をつけ、黄疸が強い場合には血液を採取してビリルビンを測定します。

ビリルビンの値の上昇速度から、黄疸が強くなることが予測される場合には、

皮膚に光をあてて間接ビリルビンを低下させる光線療法を行います。

核黄疸の危険が考えられる場合には交換輸血を行ないビリルビン値を下げるとともに、

血液型不適合による場合には溶血の原因になっている抗体の除去を行います。


7.未熟児黄疸

未熟児はからだの各臓器が未熟なうちに産まれるため、呼吸障害や黄疸などの異常を生じやすいです。

未熟児では肝臓の働きが、成熟新生児と比べてさらに未熟なので、生理的黄疸と同じ原因による黄疸がいっそう強く、また長びくことがあります。

このような場合の黄疸を未熟児黄疸と呼ぶことがあります。

未熟な場合は核黄疸を起こしやすいのでビリルビンの値が低いうちから治療が必要になります。

8.重症黄疸

赤ちゃん黄疸では、脳性マヒや聴覚障害などの後遺症の原因となる核黄疸が問題です。

このため、核黄疸となる危険のある高度の黄疸を重症黄疸とし、血液型不適合による新生児溶血性疾患が最も重要な疾患です。

新生児高ビリルビン血症でもビリルビン上昇が強い場合には核黄疸予防のために光線療法や交換輸血が必要になります。

出生後に黄疸があったからといって、あまり神経質になる必要はありませんが、

普段から赤ちゃんの顔色(皮膚色)、機嫌、哺乳力、尿や便の回数、性状などを観察しておき、

いつもと違った場合には、小児科(新生児科医)に相談するのが望ましいことです。