「子宮頚管の長さが短くなると切迫早産になりやすい」とよく聞きますよね。
子宮頚管の長さは妊婦検診の時に医師が測ってくれるのですが、短いと安静を言い渡せる事もあります。
臨月に満たない週数で、子宮口が開いてしまう事や、破水してしまう事を切迫早産と言います。
切迫早産の診断を受ける人は多く、実際、妊婦さんの7人に1人が切迫早産を経験していると言われています。
検診の度にドキドキしている妊婦さんも少なくないはずです。
では、実際に子宮頚管の長さと切迫早産にはどのような関係性についてご紹介します。
1.子宮頚管とは?
妊婦検診にはよく聞く言葉ですが、実際に子宮頚管とはどこの長さの事を言っているのか、素人のはいまいち分かりませんよね。
子宮頚管とは子宮の下に位置し、子宮の内側と外側の口を結んでいる管の事を言います。
出産する時にはその管が産道になるのです。
その管には適度な長さがあり、妊娠している間は固く閉じており、赤ちゃんが下に降りてくるのを防ぐ大切な役割をしています。
妊娠後期に入り臨月に近づく頃から、徐々に短くなり赤ちゃんも下に降りてきます。
そうするとじわじわと子宮口も開き、出産の準備が始まるのです。
2.子宮頚管と切迫早産の関係性
臨月に入る頃までの子宮頚管の長さは、通常ならば40mmと十分な長さがあり、臨月に入ると25mmほどになりどんどん短くなって行きます。
しかし、臨月に入るまでのまだ早い時期に子宮頚管が短くなってしまうと、赤ちゃんも早くに降り始めてしまうため、早産の危険性が出てくるのです。
妊娠22週から36週までの間に短くなると、早産の可能性が高くなるとされており、これを切迫早産と言います。
また、元々子宮頚管の短い人もおり、こういう場合は妊娠の早い段階から薬を服用したり、安静の指示を出される事になります。
3.子宮頚管が短くなる原因
では、早い時期に子宮頚管が短くなるのは何故なのでしょうか?これは、体質的に子宮の筋肉が弱い事や、
多胎妊娠や妊娠中毒症、子宮筋腫などの合併症、細菌感染などが原因がと言われています。
子宮の筋肉が元々弱いことを子宮頚管無力症と呼ばれ、比較的早い段階からお腹の張りを感じる事もありますが、
何の症状も感じないまま進んでしまう事もあります。
この場合、子宮口を縛る手術をするようになります。
マクドナルド法やシロッカー法と呼ばれ、子宮頚管を縛って赤ちゃんが降りてくるのを防ぐのです。
手術後は安静の指示が無ければ普通に生活出来ます。
手術をしない場合は、早めに管理入院をして張り止めの点滴などをする事になります。
合併症や細菌感染が原因の場合も、お腹の張りを感じたり出血を伴う事もありますが、やはり初期の段階では自覚症状が無い事もよくあります。
放っておくと、経管炎や細菌感染膣症、絨毛膜羊膜炎など、更なる病気に発展しまう危険性もあります。
一旦短くなった子宮頚管はもう長くはならないので、自覚症状があった場合は妊婦検診以外の時でも病院を受診するようにし、
妊婦検診も決められた時期にきちんと受けるようにしましょう。
4.切迫早産の治療
基本は安静と子宮収縮抑制の投薬になります。
医師から自宅安静の指示を受けたら、外出や家事も控え、トイレや食事の時以外は家で横になって過ごします。
それと同時にウテメリンなどの子宮の収縮を抑制する薬を服用します。
それでも悪化していくようなら入院が必要になります。
子宮頚管の長さが2mmを切ると入院させる産院がほとんどです。
入院の最大の利点は絶対安静が出来、点滴による投薬が出来る事です。
切迫早産での入院の場合は、臨月まで長期化する事も珍しくないので、妊娠の早い段階で入院になってしまうと妊娠期間のほとんどを
病院で過ごす事にもなりかねません。
5..切迫早産の予防法
子宮頚管が短くなると骨盤が開いてくるので赤ちゃんも下がってきてしまいます。
骨盤ベルトなどで骨盤の緩みを防ぐ事で切迫早産の予防に繋がります。
また、出血やお腹の張りなど、いつもとは違う症状を感じたら早めに病院を受診しましょう。
また、二人目以降のお産の場合は、骨盤が緩みやすく赤ちゃんも下がりやすい傾向にあります。
一人目に切迫早産や早産を経験した妊婦さんは特に注意して下さい。
逆に初産で短めの傾向にある場合は、一気に子宮頚管が短くなる事もあるので油断は禁物です。
現代の医療では、万が一早産になってしまっても赤ちゃんは、普通に産まれた場合と同様に元気に立派に育ってくれます。
しかし、早く産まれてしまうとNICUでの入院が必要になり、赤ちゃんのうちからたくさんの検査をしたり投薬もあります。
小さいうちは病気のリスクも高いと言われています。
その後の成長や発達も、しばらくは心配ですよね。
普通に生活をするだけでも妊娠中は体にとても負担がかかるものです。
子宮頚管の長い短いに関わらず、お母さんと赤ちゃんのために無理をせずリラックスして過ごして下さい。