赤ちゃんが下痢気味で困っていませんか?
下痢とは、便が泥状・水様にやわらかくなった状態です。
下痢で気をつけなくてはならないのは、脱水です。
便と一緒に水や電解質が大量に失われることによります。
赤ちゃんの下痢の原因・治療・対処法についてご紹介します。
1.赤ちゃんは下痢になりやすい?
赤ちゃんは生まれるとき、お母さんから臍帯を通して免疫抗体をもらってくる(母子免疫)ので、
生後6ヶ月まではある程度守られていますが、血中の抗体の効かない病原体にはおかされますし、
母子免疫が切れるとあとは予防接種がないがぎり、自分で感染を受け、免疫を獲得していくほかありません。
下痢の原因はウィルスによる感染が多いため、抵抗力の低い赤ちゃんは、下痢、脱水症状が主症状になります。
2.赤ちゃんの下痢症状
つぶつぶや粘液、ときに血液が混ざることもあります。
においにも変化が起き、酸臭(すっぱいような臭い)になったり、腐敗臭(くさったような臭い)がしたりすることがあります。
そして、ふつう便の回数も増えます。
脱水の症状があったり、手足が冷たかったり、意識がぼんやりしていたり、異常に興奮していたりするときは重い証拠ですから、
すぐに受診して輸液などの治療を受ける必要があります。
3.赤ちゃんの下痢の原因
感染によるものが主体ですが、その感染もほとんどは、ウィルスが原因です。
夏には夏かぜウィルスによるものが多くみられます。
一部は細菌が原因ですが、なかには腸管出血性大腸菌のように毒素を産生して、
腎臓や脳の症状を示す重い病気をもたらすものがありますので、その流行時は要注意です。
不適切な食事や食物アレルギー、消化酵素の分泌低下も下痢の原因となります。
食物アレルギーによる場合は検査で予測できますので、その疑いがあるときは医師に相談してみましょう。
病原体ロタウィルスや小型球型ウィルス(SRV)と呼ばれるウィルスが主で、ときに腸管アデノウィルスでも起こります。
4.赤ちゃんの下痢の対処と治療
母乳で育てているとき、お母さんが食べた食物が一部母乳中に含まれていて、それが食物アレルギーの原因となっていることがあります。
その場合、お母さんがその食品を控える必要があります。
下痢があっても、食欲があり元気であれば食事の制限は必要ありません。
水分は十分補給します。
食欲が落ちているときは、母乳はそのままでよいですがミルクは少しうすめてみます。
水分は普段飲んでいる乳汁に加えて下痢で失われるぶんまで与えなくてはならないので、補給に十分心がける必要があります。
軽い場合はお湯や番茶でもよいのですが、ひどいときは電解質(塩分)も補えるよう野菜スープなどを与えます。
細菌性の下痢の場合、抗菌薬が使用されますが、ウィルス性の下痢か細菌性の下痢かの区別は必ずしも簡単ではありません。
便に粘液が多く混ざっているとき、血液が多いとき、膿が混ざっているときは細菌性の可能性があります。
感染による下痢に下痢止めの薬は使用しません。
原因や毒物の排出を損なうからです。
5.白色便性下痢症とは?
おもに乳幼児が冬にかかる下痢症で流行がみられます。
冬に多いこと、下痢と同時に嘔吐が強いこと、便の色が薄くなり白色になることが多いことなどの特徴があります。
ときにけいれんを起こすことがあります。
検査では肝機能障害がみられます。
原因はロタウィルスによるものがほとんどです。
口からこのウィルスが侵入することによります。
治療は、嘔吐が強いので電解質液を十分に与え脱水が起きないようにします。
重いときには注射による輸液が必要です。
6.乳児の誤飲で下痢・腹痛
たばこ誤飲30分から4時間で、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、脱力などの症状が起こります。
食べた直後であれば、指などでのどの奥を刺激して吐かせます。
胃洗浄が有効です。
中毒症状があれば、胃内への活性炭の注入や対症療法を行います。
7.食物の与え方が原因で下痢
今まで食べ慣れていなかったものを初めて与えたとき、また量を与え過ぎたことがないでしょうか。
食物の与えかたが原因のときは、食事を以前に戻すことによってよくなることがほとんどです。
食物アレルギーのときは、原因食物を当分のあいだ与えないようにします。
牛乳アレルギーの場合にはそのときのためのミルクがあります。
離乳食は1段階もとに戻すか、場合によっては一時中止します。
食欲が出てきたら病前に戻します。
8.乳児ボツリヌス症
1歳未満の乳児に限って、乳児ボツリヌス症という感染毒素型の特殊なボツリヌス菌感染症を起こすことがあり、
ハチミツにしばしばこの菌が混じっていることがあります。
症状は少ないですが、下痢や腹痛などの胃腸炎症状があります。
さまざまな神経マヒ症状が出ます。
乳児には、決してハチミツを与えてはいけません。
乳幼児期は、抵抗力が弱く、わずかのことで下痢や嘔吐、脱水しやすくなります。
母乳が十分に出ているかどうか、ミルクのつくり方に間違いはないか、
離乳食が順調に進んでいるかチェックし、問題があれば改善しましょう。