子宮外妊娠とは、簡単にいうと子宮内以外の場所に受精卵が着床してしまうことです。
そのほとんどが卵管に着床し、放っておくと卵管破裂などで母体にも影響を与えてしまうこともあります。
その子宮外妊娠について、症状や兆候などをご紹介します。
1.子宮外妊娠とは
正常妊娠の場合は子宮内に受精卵が着床しますが、子宮外妊娠の場合は、子宮以外の場所に受精卵が受精してしまうことをいい、
その多くが卵管内に着床します。
仮に子宮外妊娠だとしても、妊娠検査薬では陽性反応がでます。
尿検査や血液検査も同様です。
エコー検査でどこに着床しているか確認してもらわないとわかりません。
子宮以外に着床した受精卵は、そのまま育っていくということはありません。
放っておくと、卵管破裂や卵管流産を起こしてしまうので、早目に適切な処置をする必要があります。
2.子宮外妊娠の症状や兆候について
多くの場合、ピンク色のオリモノや少量の出血がだらだらと続くといった症状があります。
しかし正常妊娠でも初期に少量出血することはよくあるので、それと間違えてしまう事も多いです。
また、最初は軽い下腹部の痛みがある程度ですが、だんだんと痛みが強くなったり、卵管が破裂してしまい大量出血をしてしまうことがあります。
お腹の中に血液が溜まり、激しい腹痛を起こし、ショック状態に陥ることもあります。
エコーで胎嚢が確認できる時期になったら、できるだけ早く産婦人科を受診し、正常妊娠かどうかを確認する必要があります。
それまでは、出血やピンクのオリモノが続いていないか、お腹に痛みはないかなど、慎重にご自身の症状を観察する必要があります。
3.子宮外妊娠の原因について
子宮外妊娠の原因については、卵管の何らかの異常によって起こると言われています。
虫垂炎や腹膜炎になったことのある人、卵管に水腫がある人、クラミジアに感染したことがある人、
卵巣手術や卵管形成手術を受けたことがある人などは、子宮外妊娠が起こりやすい傾向があります。
4.子宮外妊娠は予防できません
残念ながら、子宮外妊娠を予防することはできません。
母体に危険が及ばないためにも、早期に兆候をキャッチして早期発見することが大切です。
胎嚢が確認できる時期になったら早目にエコー検査を受けて、子宮外妊娠とわかれば、卵管破裂を防止することは可能です。
5.子宮外妊娠の治療方法について
子宮外妊娠がわかった後は、まず手術を行うか行わないかに分かれます。
早期発見の場合は、手術を行わずに待機治療や薬物治療を行うことがあります。
卵管の中で自然流産してしまった場合には、手術を行う必要はありません。
しかし、子宮外妊娠の大部分を占める卵管内に着床してしまっている状態の場合は、たいていの場合が手術が必要となります。
その場合でも、状態によって卵管を除去する場合としない場合があります。
状況から先生が治療法を提示してくれます。
6.子宮外妊娠の手術方法について
子宮外妊娠の手術方法については、着床している部分を切除する根治手術と、卵管を切開して除去するだけの保存手術があります。
もし根治手術をした場合は、切除した側の卵管での自然妊娠はもうできません。
しかし、その一方で、保存手術を行った場合は、子宮外妊娠の再発率が高くなる、というリスクがあります。
また、最近では、開腹手術以外にも、腹腔内鏡下手術を行うことも多くなってきました。
この手術は、術後の癒着が少ないというメリットがあります。
7.子宮外妊娠後の妊娠について
経過や治療法にもよって違いますが、大抵の場合は、約3ヶ月の避妊期間を設けた後に、次の妊娠が可能となると言われています。
子宮外妊娠の再発率は、約10%から20%と言われ、またクラミジアの既往歴や卵巣手術を受けたことがる人などによってその再発率は変わってきます。
手術で片方の卵管を切除する手術を受けた場合は、もう片方での卵管で妊娠する確率は、約70%から80%と言われています。
ですから、卵管切除手術を受けていたとしても、妊娠を諦める必要はありません。
8.少しでも子宮外妊娠の確率を下げるためにできること
子宮外妊娠を予防することはできませんが、卵管切除手術を受けた場合は、もう一つの卵管に異常がないか事前に子宮卵管造形検査を受けて、
詰まりがないかなどを調べることはできます。
もし詰まりや狭窄部があれば再発率が高まるので、次の妊娠時にも注意が必要です。
また、クラミジア感染も子宮外妊娠の大きな原因の一つなので、事前に感染していないか検査を受けておくという方法もあります。
このように、子宮外妊娠になってしまった場合は、そのまま成長することはなく、また予防方法もありません。
しかし、卵管が片方残っていれば自然妊娠は可能ですし、もし両方の卵管を切除したとしても、自然妊娠はできませんが、
体外受精などの方法で妊娠することは可能です。