子宮内膜症になる原因、出産への影響と治療方法とは

女性の体にしかない子宮には、妊娠出産という大仕事をする機能と共に、生涯の大半で付き合うことになる生理に絡んでの悩みも多々あります。

その中でも近年大きく取り上げられているのが子宮内膜症です。

今回はこの子宮内膜症の症状や出産への影響についてご紹介します。

1.子宮内膜症とは

子宮内膜は卵巣からのホルモン作用によって子宮内で徐々に厚くなって妊娠に備えます。

妊娠しないと剥がれて、月経として体外へ排出されます。

それが卵巣や腹膜などの子宮以外の場所で増殖と剥離を繰り返すものです。

通常子宮内で剥離した子宮内膜は、月経血として膣から体外へ排出されますが、子宮外で増殖した子宮内膜は排出されずに体内に留まります。

それが炎症や痛み、他の臓器との癒着を引き起すのです。

できる場所は様々で、腹腔や卵巣、子宮と直腸の間や、まれに肺など子宮から離れたところにもできることがあります。

このような症状が子宮内膜症と呼ばれています。

2.子宮内膜症はなぜ起こる

子宮内膜症になる原因は、まだ完全に解明されてはいませんが、いくつかの要因は考えられます。

・月経逆流説.体外へ排出されるべき月経血が、卵管から腹部へ逆流して留まるもの。

子宮内膜移植説とも言われます。

・腹膜化生説.腹膜が何かの拍子に子宮内膜に変化(化生)するというもの。

体腔上皮化生説とも言われます。

この他、免疫関与説やダイオキシン説も考えられています。

また、女性のライフスタイルの変化も子宮に与える影響を変えています。

昔は女性は初潮から長く経たずに結婚して、自然と妊娠、出産を繰り返していましたので、妊娠期、授乳期などを考えると、

生涯のうちに訪れる月経は50回ほどだったと言われています。

それに比べて近年は、初潮年齢は早まったものの、晩婚化や少子化で、女性の月経中断回数が少なくなり、

生涯の月経回数が数百回になると言われていて、それだけ月経に関するリスクも大きくなっていると言えるのです。

3・どのような症状が現れるか

・痛み.症状のうち最も大きなものと言えるでしょう。

月経痛はもとより、月経時以外にも腹部に痛みが出たり、腰痛を覚える人多いのです。

その痛みの程度も様々で、月経期の1週間ほどであったり、常に痛みを抱えていたり、鎮痛薬で治まる、

時に救急医療を受けるほどの痛みが起こる場合もあるのです。

また、痛みは月経に関してだけでなく、性交痛や排便痛、頭痛や肩こりなど、あらゆる痛みにつながっているようです。

・不妊.痛みと共に大きな問題です。

子宮内膜の癒着が起きている場合は、卵巣や卵管への影響も大きく、その働きを低下させると考えられます。

また、癒着や痛みのせいで体内のバランスが崩れたことが関係するとも考えられます。

この他にも、痛みなどの自覚がほとんど無い場合もありますが、実は子宮内膜症による癒着がかなりひどくなっていたりすることもあります。

また、月経前症候群(PMS)による痛みもあるのですが、通常この場合はあまりに強い腹部の痛みは伴わないので、

子宮内膜症を疑う判断基準にもなるでしょう。

4.出産に与える影響

子宮内膜症は出産に大きく影響するのでしょうか?

それは今のところ大きなリスクがあるとは言われていないのです。

むしろ妊娠状態が子宮内膜症の症状を緩和させるという考え方もあるのです。

ただし、子宮周辺に癒着がある場合には出産時に思わぬ事態が起こりうることも考えられます。

元々リスクの伴わない出産はありませんので、重ねて注意が必要と言えるでしょう。

またやはり出産以前の妊娠に影響が大きいと考えられるので、子宮内膜症が判明していれば、治療をしてから妊娠、出産へと向かうほうが良いでしょう。

5.治療について

・ホルモン療法.偽閉経という、閉経した状態を作ります。

症状は緩和しますが、更年期障害のような症状が現れることもあります。

偽妊娠という方法もあり、こちらは比較的副作用が小さく、長期間できるものです。

・手術.腹腔鏡手術と開腹手術があります。

腹腔鏡手術は体への負担が軽く回復も早いです。

開腹手術は病巣がおおきな場合に行われ、入院期間も数週間に及び、体への負担も大きいです。

また、保険は適用されても費用の面での負担は大きくなります。

どの治療法も、病状と進行具合、年齢など個人の事情を考慮して決められます。

妊娠を望むのか否か、再発のリスクをどう考えるかなどです。

専門医や家族とよく相談をして、経過も見ながら治療を進めていく必要があります。

このように、子宮内膜症は現代女性の大半に起こりうる病状であることが分かるでしょう。

日々の生活や将来の生活設計に大きな影響を及ぼすこともあるのです。

ですが、治療についても様々な方法があり、医療は日々進化しています。

個人それぞれの状態やライフスタイル、考え方によってどのように子宮内膜と付き合っていくのかをしっかりと考えてみると良いでしょう。

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