「さっきトイレに行ったばっかりなのに、もうがまんできない」そんな経験はありませんか?
その症状、膀胱炎かもしれません。
若い女性に比較的多い膀胱炎ですが、放置すると「腎盂腎炎」という病気に進行し、
まれに細菌が全身に回って生命に危険が及ぶこともある油断できない病気です。
今回は早期発見、早期治療が重要な「膀胱炎」の症状と原因、治療法をご紹介します。
1.膀胱炎の症状とは
膀胱炎の代表的な症状は、「排尿痛」・「頻尿」・「尿混濁」の3つです。
膀胱炎での「排尿痛」は特徴的です。
「ツーンとしみるような痛み」と表現され、特に排尿の終わりかけの時に焼けつくような強い痛みを感じます。
この痛みは膀胱の粘膜が炎症のため刺激されるために起こります。
「頻尿」とは何度もトイレに行きたくなることを言い、1日10回以上トイレに行ったり、
さっきトイレに行ったばかりなのに10分も経たないうちにまた行きたくなるなどの症状のことをいいます。
膀胱は通常100ml以上尿が貯まることで尿意を感じますが、膀胱粘膜の炎症が刺激となり
尿が貯まっていないのに尿意を感じてしまうために頻尿になります。
また、細菌が尿の中で増殖して尿が白くなることを「尿混濁」といいます。
尿に膿のようなドロッとしたものが混在することもあり、臭いがきつくなることも多いです。
他にも、残尿感といって排尿後もスッキリせ酢ず尿が残っているように感じたり、下腹部の違和感を感じたり、
目で見てわかるほどの血尿が出る場合もあります。
膀胱炎では通常高熱は出ませんが、38度以上の高熱が出ていたり、腰痛がある場合は膀胱の炎症が、
腎臓近くの腎盂まで広がっている可能性があり、一刻も早く受診する必要があります。
2.膀胱炎の原因
膀胱炎のほとんどは、尿道から侵入した細菌に感染し膀胱が炎症することで起こります。
膀胱は通常無菌状態です。
尿を出すことで、尿道に入り込んできた細菌を洗い出し無菌状態を保ってていますが、
排尿を長時間我慢すると細菌が膀胱まで達してしまい、膀胱炎になります。
男性より女性に膀胱炎が多いのは、女性の尿道が男性に比べて1/3位短く、細菌が膀胱まで達しやすいからです。
とはいっても、私たちの本来、免疫力が備わっているので膀胱に細菌が入ってきても、すぐには膀胱炎にはなりません。
しかし、トイレを長時間我慢しすぎて膀胱粘膜が伸びきったり、冷えたりすると、膀胱内の血流量が減り免疫力が弱くなり、
細菌に感染しやすくなってしまいます。
また、風邪をひいていたり、疲労やストレスなどで免疫力が低下しているとさらに細菌に感染しやすくなります。
3.膀胱炎の治療方法
軽度の膀胱炎の場合は、自然治癒することもあります。
その場合は膀胱内の細菌を洗い流すために、水分を十分に摂取して尿をたくさん作り、排尿を促します。
また、体を暖かくし、十分に栄養と休養をとり、免疫力を高めることも重要です。
症状が重い場合や、確実に膀胱炎を治すには病院で抗生物質を処方してもらう必要があります。
抗生物質が3日~5日分処方され、薬を飲み始めてから、1~2日で症状はだいぶ治まります。
しかし、症状が改善されたからと言って、薬を自己判断で中断するのは厳禁です。
細菌が完全に死滅しておらず、慢性の膀胱炎に移行してしまったり、多剤耐性菌という抗生物質が効かない細菌を作ってしまったりするからです。
処方された薬は最後まで飲むことが大切です。
受診する科は「泌尿器科」が基本ですが、「内科」や女性の場合は「婦人科」でも診察可能です。
簡単な尿検査や、問診のみで薬が処方される場合も多いので、何度も繰り返す膀胱炎や、薬をきちんと飲んだのに治らない場合は、
「泌尿器科」を受診して、専門医に相談しましょう。
4.膀胱炎を繰り返さないために
一度かかると繰り返しやすいのが膀胱炎の特徴です。
つらい膀胱炎を繰り返さないために、こんなことに注意しましょう。
・「トイレを我慢しない」水分をしっかりとって、たとえ尿意がなくても3~4時間おきにトイレに行く習慣をつけましょう。
・「陰部を清潔に保つ」女性の尿道の近くには膣や肛門が近くにあり、菌が入りやすいです。
特に便秘時は大腸菌が増殖し、膀胱炎になりやすいので便秘にも気を付けましょう。
排便後は前から後ろに拭き、肛門の大腸菌を尿道口に近づけないようにするのも大切です。
生理ナプキンやおりものシートは、こまめに交換し、清潔を保つようにしましょう。
・「性交後はトイレに」膀胱炎は性交渉を通じて感染することが多いです。
性交渉前にはシャワーを浴び、性交後はトイレに行く習慣をつけましょう。
・「免疫力を高める」無理なダイエットやストレス、睡眠不足は体の免疫力を弱め、膀胱が細菌と戦う力も弱くなってしまいます。
十分な栄養と睡眠を取り免疫力を高めましょう。
・「体を冷やさない」体が冷えや、血流の低下で膀胱周囲の免疫力が低下します。
腰回りを冷やさないようにし、運動を心掛けて血流を良くしましょう。
5.膀胱炎予防にクランベリージュース
クランベリーに含まれるキナ酸という成分には、抗酸化作用や殺菌・抗菌作用があるといわれ、
細菌感染により引き起こされる膀胱炎や尿路感染症の予防に効果があるとされています。
日本ではまだあまり馴染みのないフルーツかもしれませんが、北米では割と一般的なフルーツで、
ドライフルーツやジュースがスーパーなどで簡単に手に入ります。
アメリカでは膀胱炎の予防効果があるとして以前から注目されており、日本でも近年注目され始めています。
「色々気を付けているけど、すぐに膀胱炎になってしまう…」とお悩みの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?
100%クランベリージュースを1日100~200ml摂取すると予防効果があると言われています。
また、クランベリーのサプリメントも販売されているのでそちらを利用するのもいいかもしれません。
日本人女性の約半分が経験するといわれるほど、とても身近な病気である膀胱炎ですが、
日常生活にまで支障きたすことがあるので二度と繰り返したくはないものです。
しかし、ちょっとした生活習慣を見直すことである程度予防し、軽度のものは自然治癒することも可能です。
予防法はどれも簡単にできることばかりなので、しっかり習慣化して、膀胱炎にならない体を手に入れましょう。